罹災のために失われた利益に対して支払われる保険です。

 てん補期間は1年以内で、保険契約時に任意に定めます。(約定てん補期間)
その期間内において生じた利益の損害を対象とします。

 利益保険の対象となる項目は、営業が阻害されると不足する下記2項目です。
 @営業が阻害されても、罹災前と変わらず発生する経常費
 A営業が阻害された結果、獲得できなくなった営業利益

 利益保険の申込者はこの2項目の範囲内で、付保する内容を選択します。
選択された項目は付保項目となります。
通常は@、Aを付保しますが、部分的に付保することもできます。

 罹災による損害額は、直接付保項目の損害をみるのではなく、収益の減少から
付保項目の損害を算出する構造になっています。
 よって営業収益(売上高)の減少は、標準営業収益からてん補期間における実際の
営業収益(損害のなかった売上高)を控除して計算します。
 てん補期間は損害を受けた時期に始まり、営業収益が罹災前の状況に復した時に
終わります。ただし約定てん補期間が限度です。

 標準営業収益は、てん補期間の前年の応当期間の実績を営業収益とするのが
原則です。
 営業収益減少額に利益率(直近の損益計算書より算出)を乗じて得られた額が
喪失利益です。
 ただし付保経常費のうち支出を免れた額がある場合には、その額を差し引いた額と
なります。
 したがって喪失利益は次の算式で表されます。

  営業収益減少額×利益率ー支出を免れた付保経常費
  =喪失利益


 特別に支出した費用で収益の減少を防止できたなら、喪失利益の軽減に代わって
発生した損害とみられるため、この費用を収益減少費用として利益保険の対象と
します。 
 結局、利益保険は喪失利益と収益減少防止費用が対象になります。

  (喪失利益+収益減少防止費用)×付保率=支払保険金

 利益保険には2つの約定方式があります。
 @約定てん補期間を定め、その期間内に生じた罹災が原因の利益の損害を
てん補する方式(約定てん補期間方式)
 A一定割合の保険金額までを、1年内の範囲でてん補する方式(約定付保割合方式)

 保険金額の設定が過少な場合には、保険の原則どおり、比例てん補の適用を
受けます。 
 保険価額に対する保険金額の割合を付保率といいます。
 以上を算式にまとめますと次のようになります。

  {(営業収益減少額×利益率ー支出を免れた付保経常費
  +収益減少防止費用 ×(保険金額÷保険価額)}=支払保険金


 
利  益  保  険  の  内  容